廃棄物分離

おそらく世界中の国の中で、この分野に関して日本ほど細かく徹底している国はないと言っても過言ではないでしょう。それほど日本ではゴミを細かく分別しますし、国民もそれを実際行っています。これは言うほど簡単なことではなく、日本人の実直さ、そして社会性が如実に表れていると思います。しかしこの分別システムを見直すべき、とする人たちがいます。それは一体何故でしょうか?

細かい分別による弊害

これらの人が主張するところでは、細かく分別すると、それぞれ別々の収集車が必要になり、物流効率が悪くなる。収集の回数も増えるのでCO2排出量も増え、エコロジーの観点からも良くないと言うのです。この点については、東京都で廃棄物関連サービス業を営む白井グループ代表取締役白井徹氏が「サステナブル・ビジネス・マガジンalterna online」の中で、「廃棄物、リサイクル費用の50%以上を占める物流費の大幅な削減が実現できなければ、リサイクル技術も住民の分別協力も環境衛生の向上には力不足です。」と述べています。現場で働く方の意見はやはり重く受け止める必要があり、この主張を簡単に退けることはできません。

日本のプラスチックリサイクルの実態

また「海洋プラスチック問題」が、現在大きな話題となっています。この問題を簡単に説明しますと、海洋に流れ出たプラスチックごみは次第に細かくなり、最終的には1mm以下のマイクロプラスチックとなります。それが魚などの海洋生物の体内に蓄積し、最終的に人間の体内に入ってしまうというものです。2018年に国連環境計画が出した報告書によると、日本人1人当たりが出すプラスチックごみは平均32kgで米国に次ぐ世界2位。総量でも世界5位の量と報告されています。

もちろん日本ではプラスチックのリサイクルが積極的に行われていますので、海洋プラスチックの問題が直接日本の問題とはなりませんが、しかしそのリサイクルについてもまた違う問題が存在します。一般社団法人プラスチック循環利用協会によると、リサイクルには「マテリアルリサイクル」、「ケミカルリサイクル」、そして「サーマルリサイクル」があり、そしてその3つを足した廃プラスチックの有効利用率は86%とのことです。しかし「サーマルリサイクル」とは、実は火力発電として燃やしているものを指します。これはエネルギーとしてリサイクルしている、という説明がなされますが、リサイクルは「循環する」という意味なので矛盾する上に、海外でこれをリサイクルと呼ぶことはありません。これらの問題も含め、ゴミ問題について日本は今一度考える時期に来ていると言っていいでしょう。