健康志向が高まるにつれて、最初に見直されたのはやはり、直接人の口に入る食事でした。そのため現在ではかなりの数のオーガニック食材が、容易に手に入ります。最寄りのスーパーで買い物をしていても、普通にオーガニックと書いてある食品を目にするはずです。
しかし一概にオーガニックと書いてあっても、全てが無農薬ではありません。例えば日本で最も信頼性の高いJAS認証の有機野菜には、使用が認められている殺菌剤や殺虫剤があります。もちろんそれらは安全性が高い、として認められているわけですが、例えば使用が許可されているボルドー液に含まれている硫酸銅は劇薬です。含有量が少なく、人間への危険性は低いという科学的な根拠に基づいて許可はされていますが、しかし水棲動物については強い毒性を発揮することがわかっています。そのため水質汚染への配慮が必要という但し書きがなされているわけですが、たとえ直接的な影響が人間になかったとしても、こういった自然界に影響を及ぼす農薬はマクロな視点から使うべきではない、と考える人も多く存在します。つまるところ最終的な判断といものは、やはり自身の判断によって決める必要があるのです。他にもこんな例があります。
容器の内側に塗られたBPA
BPAとはビスフェノールAのことで、プラスチックの原料として使用される化学物質です。しかしそれだけではなく、例えば食器や缶詰の内側のコーティング、また食品用ラップなどにも使用されています。この化学物質は人間の体内にある一部のホルモンと分子構造が似ていて、大量に摂取すると生殖器や神経系などに深刻な問題を引き起こす可能性があると言われています。米食品医薬品局(FDA)は、少量を食生活で摂取することは問題ないと2012年に発表しましたが、同時に幼児の哺乳瓶などへの使用を禁止しました。同様に哺乳瓶への使用などを規制していた欧州連合(EU)は、更に2018年からBPAに関する規制を強化し、含まれる数値の制限や、BPAに関するコンプライアンス宣言書の作成などを義務化しました。
日本でもBPAの耐容一日摂取量を基に、容器からの流出制限が決められてはいますが、もちろん禁止はされていません。そのためオーガニック食材が、BPAが流れ出る缶容器に詰められて売られている、ということが起きるのです。これではオーガニックをわざわざ選ぶ意味が薄れてしまいますよね。
このように現在は自分の身は自分で守る必要がある時代です。そして情報は日々更新されて行きます。それを追いかけることは大変なことではありますが、自身の、そして家族の健康のために取り組んで行く必要があるのです。