日本においてシャンプーや石鹸などのオーガニック製品の展開は、西洋などに比べて遅れているのが現状です。食料品などに関しては日本でもかなり広まっているのに比べて、こういった製品で遅れている理由としては、シャンプーや石鹸などに使う原材料の殆どを海外からの輸入に頼っている、という点が挙げられます。
また日本人が「経皮吸収」と言うことに関し比較的無頓着なことも理由です。余り耳慣れない言葉ではありますので、ここで経皮吸収について説明します。人間が何かしらの物質を体内に取り込む時、主にそれは口から、つまり「経口摂取」と言うことになります。栄養素になる食料や、副次的に取り込むサプリメントや薬などもほとんどが経口摂取です。しかし人間は皮膚からも物質を取り込むことができます。例えば禁煙を行うために使用するニコチンパッチは、皮膚からニコチンを取り込みます。そしてもちろん経口摂取と同様、毒素であっても皮膚は取り込んでしまうのです。
日常的に肌に使用するシャンプーや石鹸に、有害な物質が含まれていたらどうなるでしょう?1回あたりで吸収する量は少量であったとしても、毎日、時には1日に複数回体を洗えば、それなりの量になってもおかしくありません。また経皮吸収されたものは、排出され辛いとも言われています。消化器官のような排出することが前提のシステムが無いからです。
シャンプーや石鹸にオーガニック製品を使用する理由
人体への直接的影響
もちろんこのような製品を製造する企業が、意図的に毒物を混入させることはありません。しかし人間の体への影響の検証、と言うのはとても難しいものです。それに化学物質に関しては、その人体への影響評価が次の日には変わっていることだってあります。だからこそより「安全の可能性が高いもの」を選ぶ必要があるのです。自然素材が原料のものを、そしてそれがオーガニック原料であれば言うことはありません。
自然への影響
これも天然由来の製品を選ぶ大きな理由です。天然の石鹸分子の界面活性剤機能は、生分解性に優れているため環境中で速やかに失われて行くのですが、合成洗剤内の合成界面活性剤は環境中に長らく残存します。それは水棲生物を汚染し、また分解されたとしても環境ホルモンとして分解されるので、巡り巡って人間に影響を及ぼす可能性があるのです。
シャンプーや石鹸を購入する時に、一度成分表示を確認してみて下さい。どこにも「石ケン」という文字がなければ、それは合成洗剤です。購入する製品が何なのか、それを知った上で買うか買わないかを決めることは重要なことなのです。